08年 5月 3日(土)
「障がい児者の余暇活動」
・・・スキル習得に支援必要
風薫る皐月(さつき)。山々はもえ、街路樹のサツキの紅紫が新緑に映えます。
四月から福祉作業所ポッケの森(仙台市太白区人来田)に通っている自閉症の長男は、模倣力(見てまねて学ぶ力)が極端に少ないため、何事も二人羽織で動きを身体に覚えさせる方法でさまざまなスキル(技術)を身に付けました。本来、楽しみであるはずの余暇も教えることから始まりました。
その息子の楽しみは、学校や作業所などで勉強や仕事をがんばった週末や長期休暇のゲレンデスキーやテレマークスキー(山スキー)、散歩、自転車での外出、クライミングです。前述のように模倣力が少ないため、知的な遅れが重くスキーやクライミング、自転車などを通常の方法で教えても理解できません。ましてや、教えてすぐにできるはずもありません。今のように楽しむためには、散歩すら数年掛けての取り組みが必要でした。
障がい児・者がある余暇活動スキルを身に付けるためには、子ども(当事者)をよく理解しているその子どものプロ(保護者)、障害特性などを踏まえた教え方のプロ、そしてその活動のプロがそろうことが望ましいと思います。
しかし、現実としてその三者が整う環境は少ないといえます。子どもに興味があっても、保護者が子どもに経験させたくても、それらのサービスを提供してくれる人、団体、活動場所が少なく、また、あったとしてもその情報が行き渡らず「やらせたい(やってみたい)」と声にする前に、「どうせ、うちの子どもには(ぼくには)むりだから〜」と始めからあきらめてしまいます。
このように、障がい児者が世間一般と同じく、気軽にカルチャー教室やスポーツ教室に通い、余暇を楽しみ、そのスキルを身に付けることができない現実があります。現在の余暇支援は、保護者とボランティアのサークル、親の会や作業所、ヘルパーの移動支援が主体であり、さまざまなプロとの結びつきは稀(まれ)といえます。
長男の場合、スキーやクライミング、沢登り、長距離ツーリングに関して、次男のスポーツ教室の先生、山活動に詳しい中学の担任の先生、クライミングジムのスタッフ、くりこま高原自然学校のスタッフから、それぞれの道のプロとしての意見や提言、アドバイスをもらい、自閉性特性を踏まえた長男の情報をもとに、話し合い、打ち合わせを重ねました。道具やその使い方の工夫、指示の出し方など、長男にあったプログラムをすすめ、現在のように楽しむまでになりました。
この時大切なのは、楽しみだけを優先しないことです。気軽に楽しむためにも、ルールやマナーを教える必要があります。それは、家庭におけるしつけの部分と大きく重なります。だからこそ、彼らのわかるやり方で、彼らのペースで取り組む必要があり、それには、障害特性などを踏まえた教え方のプロである機関と家庭との連携がきわめて重要になります。
余暇活動がすべて活動的なものばかりとは限りません。日常の中、室内で何もしないでゆっくりとくつろぐ、好きなビデオやテレビ、ゲームをすることも大切な余暇活動です。しかし、これらは、知的な遅れが重い自閉症の長男の苦手とする分野です。毎日のことだからこそ、そのスキル習得は、大切になります。
楽しみがあるからがんばれる。生活の質(QOL)の向上のためには、余暇活動の充実は欠かせません。もっと気軽に余暇を楽しめるように、そのスキル習得や活動を支援する体制が望まれます。 」