08年 4月 1日(火)

         「福祉職の人材確保」
      ・・・・報酬保障へ政策導入を


「四月、新しい年度が始まりました。街に出ると真新しいスーツに身を包んだ新社会人の姿を見掛けます。売り手市場と言われた昨年度の就職戦線。大手企業の求人に人気が集まり、地方の企業や中小企業は苦戦を強いられました。また、職種別でも明暗がはっきりと分かれました。その苦戦を強いられた職種に、福祉関係も含まれます。団塊世代の大量の定年退職とともに、この現状はしばらく続くのではないでしょうか。

 四月から福祉作業所に通い始めた自閉症の長男の楽しみは、毎週土曜日の男性ヘルパーとの外出です。一緒に買い物や映画に出掛け、時には電車や自転車などを利用し、さまざまな活動を体験しています。このヘルパー事業所との付き合いも四年目になります。この事業所と巡り合うまでは大変でした。仙台市内のヘルパー事業所の数は多いのですが、パートを含めた男性ヘルパーがいる事業所は少ないのです。ましてや、ヘルパーとの活動が土曜日ともなればなおさらです。数カ所の事業所に電話しました。しかし、男性ヘルパー不足ですべて断られました。運よく現在の事業所から「とりあえず、お話だけでも」との返答をいただいたときは、心底ほっとしたことを覚えています。

 子どもの成長や家庭の諸事情により、移動支援などのサービスの活用を希望しても支援提供を申し出てくれる事業所がなかなか見つからないのです。必要だからこそ、事業所を探し、申し込み、そのたびに断られ、ついには電話をする意欲すらなくし、直面する困難や問題を抱え込んでしまう保護者も多いのです。

 では、なぜ、福祉の現場がこのような状況に置かれているのでしょうか?

 ヘルパーや施設指導員などの福祉を担う人たちは、介護や医療、当事者が自立するために必要なスキル(技術)習得に向けた支援の提供など、専門的知識と技術を併せ持つ必要があります。だからこそ、見守りや家事援助、移動支援など彼らが提供するサービスの一つ一つは、それらの専門的知識に裏付けられたプロの行為であり、大切な養育の担い手ともなります。また、活動場面も家庭や施設などに限られず、屋外の活動や移動など地域社会全般となり、さまざまな危険とも隣り合わせています。そのために責務はより重くなります。それがある意味、やりがいになっているともいえます。

 昨今、介護福祉関係で問題が起こるたびに「福祉は善意」「福祉は気持ち」「福祉で利益を考えてはいけない」というテレビなどのコメンテーターの言葉を耳にします。果たしてそうなのでしょうか。
 昨年十一月ごろのハローワーク仙台のヘルパー求人資料を見ると、ばらつきはありますが年収は二百万円から三百万円前後となっています。これが彼らの責務の報酬と言えるのでしょうか? 私にはとてもその内容を反映しているようには思えません。

 福祉を担う人たちにも生活があります。自分たちの生活のために働いているのです。当然、やりがいや善意だけでは生きていけません。よしんば、やりがいを求めて働き始めても、結婚を機に離職、または退職。賃金が低いために、やりがいのある仕事を続けられないのです。この離職率の高さはさまざまなスキルを身に付けた人材の流失を意味しています。まさに、福祉現場の人材育成システムの崩壊を招いています。

 安定した福祉サービス確保のためには、福祉を担う人たちの報酬保証・人材確保などの政策導入が早急に求められます。 」