08年 三月 1日(土)

「障がい者サポートブック」
  ・・・・・子育てを見つめ直す機会



三月に入ると厳しい寒さも緩み、一気に春めいてきます。あとひと月で新年度が始まります。少しばかりの不安な気持ちとワクワクドキドキ、うれしい気持ち、期待に満ちる季節の到来です。それと相反して、さまざまな配慮・支援を必要とする人々にとり、さまざまな場面で人や物・場所などの生活環境が大きく変わり、必要な配慮や支援そのものに混乱を来すこの時期は、まさに受難の季節となります。そのつらさを軽減するお助けグッズとしてサポートブックがあります。

 知的に重い自閉症の長男は、四月から、彼が希望した作業所に通います。幼稚園以来十五年続いた教育機関から、福祉作業所への就労により福祉機関へと移ります。その際に、学校と話し合いながら作成した個別の教育支援計画と移行支援計画、そして私(保護者)が作成したサポートブックを活用します。

 障がい種・障がいの軽重、あるいは障がいの有無にかかわらず、さまざまな配慮・支援を必要とする方の支援・援助の基本は「ONE ON ONE」です。そのため、日常生活において配慮すべき点・注意事項など、人それぞれに異なります。それら日常の支援・配慮に必要な情報をまとめたものがサポートブックです。

 記載内容は、当事者の発達・性別・年齢などの状態により異なります。例えば、身辺自立が確立していない方の場合、サポートブックは日常生活全般にわたる支援方法が事細かに書かれます。しかし、身辺の自立は確立しているものの、集団での他者とのかかわりで困難を呈し、援助を必要とする場合は、その部分の支援・配慮に焦点を当てた内容になります。

 また、サポートブック作成の工程は、作成者に大きな変化をもたらします。それは、何事に対しても「どうせ○○だから…」と、原因を対象者の障がいなどのせいにし、自分の行動を省みることなく受け流す堂々巡りの思考サイクルから、自分の行動を振り返り、対象者と環境の分析を行い、次回に生かす発展的な循環型の思考サイクルへと変わることです。

 例えば、自閉症のお子さんに「ご飯だよ」と声を掛けたら子どもが自分の頭を強くたたいた。この時、「自閉症だから仕方がない」「いつもの事だ」と受け流すと堂々巡りの思考サイクルに陥ります。しかし、同じ場面で「行事続きで大変そう」「自閉の状態が強いのに、後ろからの大きな声で驚かせたかな」「次回は、正面から静かに声を掛けてみよう」という発展的な循環型の思考サイクルになると経験が次に生かされます。この思考サイクルの変化は、作成者の養育観に大きな影響を与えます。「今までどれだけ子どものことを見ていなかったのか。子どもの障がいを『できない』『困った』ことの言い訳にして向き合っていなかったのかを痛感しました。自分を振り返ることを学びました。子どものことを正面から見ていなければサポートブックは作れません」。作成会に参加した保護者の言葉です。

 支援計画やサポートブックの活用は、適切な支援を保護者から先生へ、ヘルパー・施設職員・ボランティアなどさまざまなサポーターへと広げ、当事者が主体的に生きる生活環境を家庭から学校へ、さらに地域へと広げることになります。

 きちんとしたサポーター間の情報と援助スキル(技術)の共有は、当事者の自立をスムーズに行うために必要な支援・配慮の大切な初めの一歩なのです。

 最後に、今日、十八歳になる長男へ。
 「お誕生日おめでとう。つらい、大変なこともあったけれど、それ以上の笑顔と幸せをありがとう」