A.Webern(アントン・ウェーベルン)

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 シェーンベルクの弟子の一人であるウェーベルン(1883〜1945)は、新ウィーン派の中で最も後世に影響を与えた作曲家であることはいうまでもない。彼の音楽はトータル・セイエズムの前兆であり、それはブーレーズやシュトックハウゼンの音楽につながってくる。それだけにとどまらず、ウェーベルンの音楽は、後のポーランド音楽に多大な影響を与えたといえる。ポーランドの現代音楽を一言で表現すれば、それは「音と間」の音楽であり、それはケージが指摘したようにウェーベルンの独自な言語なのである。
 彼の音楽に一貫して流れるものがある。「緊張感」だ。ウェーベルンの音楽を聴くとき、私の聴覚は最大限に緊張し、五感の全てが耳へと向けられる。その緊張感の原因となるものが、前述の「音と間」なのである。極少数の厳選された「音」(そのため、ウェーベルンの楽曲はしばしば極端に短い)と、それぞれの音の間に横たわる「間」。全感覚が聴覚へと移行している状態で、突然「無」が訪れる。ある男が最大限の力を振り絞って上から落ちてくる滝の水をバケツで受け止めていたとしよう。彼の全力と全精神はすべてバケツ一つに向けられている。そのとき、急に滝の水が止まる。その瞬間、滝の水との力的間隔を保っていた彼の全神経はバランスを崩し、何もない空中に放りだされる。ウェーベルンを聴いているとき、これと同様の感覚に襲われるのだ。ウェーベルンの場合、滝の水は「音」であり、バケツは我々の耳である。そして滝が止まった瞬間、即ち「音」が消え「間」が訪れた瞬間こそが、究極の緊張であり、ウェーベルンの音楽なのだ。

 <楽曲解説>

管弦楽・大管弦楽のためのパッサカリア op.1

・大管弦楽のための6つの小品 op.6

・管弦楽のための5つの小品 op.10

・交響曲 op.21

・9つの楽器のための協奏曲 op.24

・管弦楽のための変奏曲 op.30
室内楽・弦楽四重奏のための5つの楽章 op.5

・ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 op.7

・弦楽四重奏のための6つのバガテル op.9

・チェロとピアノのための3つの小さな小品 op.11

・弦楽三重奏 op.20

・ヴァイオリンとクラリネット、テナーサックス、ピアノのための四重奏 op.22

・弦楽四重奏 op.28
独奏曲・ピアノのための変奏曲 op.27
歌曲・シュテファン=ゲオルグの「7つめの輪」による5つの歌 op.3

・シュテファン=ゲオルグの詩による5つの歌 op.4

・ライナー=マリア=リルケの詩による、中くらいの二つの声と8つの楽器のための歌 op.8

・声とピアノのための4つの歌 op.12

・ソプラノと管弦楽のための4つの歌 op.13

・声と4つの楽器のための6つの歌 op.14

・ソプラノと5つの楽器のための4つの宗教歌 op.15

・ソプラノとクラリネット、バスクラリネットのためのラテン語の詩による5つのカノン op.16

・声と3つの楽器のための3つの民謡 op.17

・声とEs管クラリネット、ギターのための3つの歌 op.18

・混声合唱と5つの楽器のための、ゲーテの「中国の年と一日における時間としてのドイツ」による2つの歌 op.19

・ヒルデガルト=ヨーネの「Viae inviae」による3つの歌 op.23

・声とピアノのためのヒルデガルト=ヨーネの詩による3つの歌 op.25
合唱曲・「軽い小舟に乗って逃げろ」 op.2

・混声合唱と管弦楽のための、ヒルデガルト=ヨーネの「ビジョン」 op.26

・ヒルデガルト=ヨーネの詩によるカンタータ第一番 op.29

・カンタータ第二番 op.31
編曲・A.Webern:弦楽四重奏のための5つの楽章 op.5(オーケストラ編曲)

・J.S.Bach:「音楽の捧げもの」よりフーガ第二番 BWV1079(オーケストラ編曲)

・F.Schubert:ピアノのための6つのドイツ舞曲 D820(オーケストラ編曲)